溶連菌感染症の感染の仕方は飛沫感染と皮膚からの接触感染があります。溶連菌は、正式にはA群β-溶血性連鎖球菌といいます。溶連菌感染には咽頭炎、扁桃腺炎、とびひがあります、ここでは主に咽頭炎、扁桃腺炎について述べます。
■溶連菌感染症の診断
(1)A群溶血性連鎖球菌迅速診断キット
綿棒で、のどの菌を採取し検査します。溶連菌かどうか数分で診断できます。ただし溶連菌だけしか判定できません。また検査前に抗生物質を飲んでいると正確には診断できません。
(2)咽頭培養検査
同じく綿棒でのどの菌を採取し検査します。溶連菌だけでなく他の細菌も診断できます。ただし検査には数日を要します。この検査も、検査前に抗生物質を飲んでいると正確には診断できません。
(3)血液検査
他の細菌感染と同じように白血球が増えたり、CRP(炎症の数字)が上昇したりします。またASOやASKなどの抗体検査もありますが、抗生物質で治療した場合は、抗体は上がらないことが多いようです。
■溶連菌感染症の症状
溶連菌感染症の咽頭炎では、潜伏期はおおよそ2〜5日です。主に2〜10歳頃に多く(ピークは5〜10歳頃)、成人には少ないといわれています。また季節的には、12〜3月に一番多く、7〜9月が一番少ない主な症状は次のようなものです。
(1)咽頭炎・扁桃腺炎
発熱(90%以上)、のどが痛い、のどが赤い、扁桃腺に白いものがつく。(そのために口臭があることも多く、血液の混じった黄色い痰が出ることもある)
(2)口蓋の点状紅斑・点状出血斑
口の中の口蓋垂(のどちんこ)を、中心に赤い小さな点状の出血斑が認められます。
(3)イチゴ舌
舌の表面が、イチゴの表面のようになることがあります。(発病2〜4日目)
(4)全身発疹
顔や股のところに、小さい赤い発疹が多数出現します。(発病1〜2日目)かゆみを伴うことも多いようです。(猩紅熱)
(5)皮膚落屑
いろいろな症状が消えた後(5〜6日目以降)に手や足の指先から皮がめくれてきます。
(6)その他の症状
頭痛・だるさなどの発熱に伴う症状などが認められますが、咳・鼻水などの一般的なかぜの症状は、他の感染症に較べると少ない。嘔吐を伴うことはありますが、下痢はあまりありません。
■溶連菌感染症の治療
溶連菌感染そのものは、普通の抗生物質を2〜3日飲めば、すぐ治まりますが、急性腎炎・リウマチ熱・血管性紫斑病などの合併症を防ぐために、10〜14日間、抗生物質を飲むことが勧められています。(どの程度抗生物質を飲めば、どの程度合併症を防ぐことが出来るかは、はっきりしませんが、実際にこれらの病気が最近あまりみられないことから考えて、それなりに有効であると考えられます)また念のために3週間後ぐらいに、検尿や咽頭培養検査をする医院もあります。
■溶連菌感染症の合併症
(1)直接的な合併症
中耳炎・気管支炎・リンパ節炎・副鼻腔炎など
(2)急性腎炎
溶連菌感染後、3〜4週後に発生することが多い。突然、むくむ、尿が出なくなる、血尿や蛋白尿が出る、血圧が上がるなどの急性腎不全の状態になります。予後は良好で1〜2年のうちに90%以上は治癒しますが、入院や安静、食事制限、体育の見学などが必要になります。
(3)リウマチ熱
日本では最近、ほとんど見かけませんので、詳細は省きます。溶連菌感染後に、発熱や身体の各部に炎症が認められます。(多関節炎、不随意運動、皮下結節、心炎)心弁膜症の悪化を防ぐため、抗生物質を長期に内服する必要があります。
(4)血管性紫斑病
溶連菌感染などの感染後や予防接種などの後に、出血斑などの発疹・激しい腹痛関節痛・浮腫などを認めます。引き続き紫斑病性腎炎を起こすこともあります。
■溶連菌感染症の家族に対する治療
溶連菌と、はっきりと診断された場合には、その家族全員にも抗生物質を服用するのが、おそらく一番理想的でしょう。(兄弟で50%、親で20%感染しており、感染者の50〜80%発病するという報告もあります。)
現実的には、発熱や咽頭痛など症状がある人や、検査の陽性の人は、抗生物質を服用することが多いようです。また幼稚園・保育園などで流行しているときは、抗生物質が予防投与されることもあります。
溶連菌感染症はA群β-溶血性連鎖球菌にも、いろいろなタイプがあります。日本では、だいたい4〜5種類のタイプがあり、4〜5回は感染する可能性が言われています。(発展途上国では、15〜20種類あるようです。) 抗生物質を1〜2日服用し、発熱や発疹が治まって元気があれば登校・登園してもかまいません。














