薄毛に悩み始めたとはいっても、いきなりカツラというのはさすがに抵抗感がありました。「きっと、ストレスによる一時的なものだ」「ひょっとしたら持ち直すかも」―――。そう信じたい気持ちもありました。そこで、まずは育毛コースから始めることにしました。料金は、カツラのコースや増毛コースと比べれば安価で、20数万円を現金で支払いました(回数制)。
育毛コースは、低周波マッサージ、暖める/冷やすマッサージ、オイルマッサージなどを組み合わせるメニューでした。アートネイチャーのスタッフの説明によれば、人間の成長は20代前半で止まるが、頭蓋骨はその後もゆるやかに拡大し続けるため、頭皮がパンパンに張ってしまい、その結果、血行障害が起き、髪の毛が抜けやすくなるそうです。
もちろん、遺伝的要素も強いとのこと。つくづく、母方のおじたち(薄毛三兄弟)の遺伝子が恨めしかったです。マッサージ中はとにかく暇だ。アイスコーヒーを飲んだり、本を読んだりして時間をつぶすしかない。1回の施術は2時間弱くらい。たしかに、終わった後は爽快感があるし、なんとなく頭皮もやわらかくなったように感じました。
だが、期待していたような育毛効果は実感できなかった。3週間に1回くらいのペースで施術を受けていたら、あっという間に購入済みの回数が減ってきた。そこで、アートネイチャーのスタッフに効果を実感できない旨を伝えると、驚きの言葉が返ってきました。
「育毛コースで現状維持しつつ、増毛コースで増やしていくのがオススメです」「育毛コースだけではよくて現状維持が精一杯。髪の量やコシが復活することは、まずないですよ」愕然とする私。ちょっと待て。薄毛の相談をした時に、はっきりと「髪のコシや量を復活させたい」と伝えたはずなのだが。どうせ増えないのなら、その分の予算も増毛コースに振り分けて、よりたくさんの人工毛を作ってもらうこともできたのに。
しかし、もう引き返せない。「頭髪のV字回復」へのかすかな望みをつなぐためにも、約60万円を支払い、増毛に使う人工毛を作ってもらうことにした。色や太さを似せて作るために、サンプルに自毛が数本採取された。あとは、仕上がりを楽しみに待つだけだ。はじめての人工毛―――。自毛にそっくりであってほしいと願わずに入られませんでした。










