男には男の悩みや不安があるものですが、男性器に関するものは他者からなかなか理解が難しい場合があると思います。
例えば、「ペニスが縮んで体の中に取り込まれてしまう」「悪霊が性器を盗んでしまう」といった強い恐怖は、現代社会で暮らしている私達から見ると、なかなか理解しにくいものだと思いますが、実は、紀元前の中国の医書にも記されていて、古くから中国や東南アジアで男性器に関する心の病気を「コロ」と呼ばれる現象として起きています。
心の病気の中には、その人の属する社会や文化の影響を強く受けるものがあり、文化依存症候群と呼ばれています。コロは、その代表的な一つであります。
コロは不安の元?
性の中でも性器に関する悩みはなかなか人には言えないものですが、強い不安や恐怖が生み出される事があります。実際、男性にとって、自分のペニスがなくなってしまうという事は相当な恐怖です。子供の頃、悪戯をした時、母親から「悪い事をするとおちんちんがなくなっちゃうよ」とおどされた事はなかったですか?
中国や東南アジアの男性で、亀が甲羅の中に頭を隠す様に性器が体の中に隠れて死んでしまった人の話を周りから聞かされた人は、用を足している時、いつもより縮んでいる事に気付くと、頭の中でその話に結びついてパニックになり、コロが起きてしまう事があります。なお、コロという名前はマレー語で亀を意味する語に由来しています。
コロは社会パニックの原因にもなる
コロは中国、東南アジアで見られる文化依存症候群とされていますが、実は、アフリカやヨーロッパなど世界中で起きていました。それには黒魔術など、その地域特有の風俗や文化の影響がある事が多いのですが、アメリカでは大麻中毒などの薬物中毒で見られる事があるそうです。コロが生じる背景には、精神医学の大家であるフロイドが唱えた、男の子が持つ去勢不安のようなものが男性の心の奥底に根を下ろしているのでしょうか。
コロは本人のみならず、周りの人を巻き込み、集団ヒステリーを起こしてしまう事があります。1967年シンガポールで発生したコロは有名です。予防接種を受けた豚の肉を食べると男性器が縮んでしまうという噂が町を流れ、数百人単位の人がその不安と恐怖に取りつかれてしまいました。
また、1980年代、中国の海南島でコロが発生しました。その地域では、狐の霊が男から性器を盗むという話が信じられるような文化があり、ある占い師の予言がきっかけとなり、狐の霊の噂が流れて、町から町へコロが集団発生しました。性器が盗まれないように他の人に押さえてもらったり、器具を用いたりしている際に、負傷してしまう事がありました。
今までトイレで用を足している時、ふと自分の性器を見て、いつもより小さくなっていると不安を覚えてしまった事はなかったでしょうか? コロが生じる素地は意外に多くの人が持っているのかもしれません。










