STD(性行為感染症:sexually transmitted diseases)の中で現在、世界諸国で最も症例数が多いのが性器クラミジア感染症です。女性の場合は特に自覚症状が乏しく無症状のため妊婦健診で偶然にみつかることもしばしばです。放置していると不妊の原因にもなります。
■性器クラミジア感染症の病原体
性器クラミジア感染症の病原体はクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)です。眼感染症(トラコーマ)の起因菌として発見された偏性細胞内寄生性の微生物(細菌とウィルスの中間)です。細菌のように人工培地での培養は不可能でウィルスのように生細胞の中でのみ増殖することができます。
■性器クラミジア感染症の感染経路
性器クラミジア感染症の感染経路は無防備な性行為により感染。潜伏期(感染して症状がでるまでの期間)は1〜3週間程度。クラミジアは、喉、直腸、尿にもでるので口、肛門、尿を使った性行為も危険です。
■性器クラミジア感染症の主な症状
[男性]性器クラミジア感染症の主な症状
男性性器クラミジア感染症の主な症状は尿道炎として発症。尿道からの漿性の分泌物、軽度の排尿痛又は違和感。
[女性]性器クラミジア感染症の主な症状
女性性器クラミジア感染症の主な症状は子宮頸管炎として発症。通常症状は自覚されないため長く保菌状態が続き感染源になるほか、卵管炎により不妊症、子宮外妊娠の危険も高くなります。クラミジア感染した母親から産まれた新生児が産道内で感染した場合は、生後2〜7日で新生児結膜炎を発症し肺炎を合併することもあります。
■性器クラミジア感染症の検査
●クラミジア抗原の検出→膣分泌物、尿道分泌物を検査材料とします。
「今感染しているかどうか」がわかります。確実にクラミジアの存在が証明されるため、必ず治療が必要となります。ただ、子宮の入り口付近までの検査なので卵管炎や骨盤腹膜炎を起こしている時などは陰性になる場合があります。
●クラミジア抗体(IgA,IgG)の検出→血液検査です。
「過去にクラミジアにかかったことがあるかどうか」の指標となります。抗体検査はクラミジアの存在をそのまま反映するものではありません。クラミジア感染が起きると、抗クラミジアIgG抗体が1〜2週間後には陽性となり、1〜2ヶ月後にIgA抗体が陽性となります。クラミジア抗原陰性でクラミジア抗体陽性の場合、腹痛などの症状があれば治療の対象となります。
■性器クラミジア感染症の治療
性器クラミジア感染症の治療はマクロライド系(クラリスロマイシンなど)、テトラサイクリン系(ミノサイクリンなど)、ニューキノロン系(レボフロキサシンなど)の抗生物質を2週間程度飲みます。感染によって抗体ができますが、ピンポン感染を含み何回でも感染するのでセックスパートナーと一緒に必ず医療機関(男性は泌尿器科、女性は産婦人科へ)を受診して完全に治すことが必須です。
性器クラミジア感染症のこわいところは、自覚症状がほとんどないので感染や発病に気付かないまま進行し不妊症という重大な結果をもたらすことです。妊娠を望む女性はまめにクラミジアの検査を受けることをおすすめします。
東京都健康局のホームページでは「性感染症ってどんな病気?」という東京都が作成した性感染症についてのパンフレットを掲載しています。ご参考までに。














