性機能障害を治療するための新薬の市場には、将来性が約束されているようだ。米国では、最大で3000万人の男性が勃起障害に悩んでいるが、バイアグラを服用しているのはわずか800万人だと『ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリー』誌2002年9月号に掲載された勃起障害治療法についての論評記事は伝えている。
最近米パラティン・テクノロジーズ社は、「PT-141」と呼ばれている勃起障害の新薬を開発した。この新薬の有効性を実際の性生活で検証するため、テストに参加してくれる患者を集めている。被験者はバイアグラの評価に使われるものと似たようなアンケートに答え、使用体験を報告することになる。まだバイアグラは、米国で唯一承認された勃起障害治療薬だが、この新薬はバイアグラを超える効果があるという。
パラティン・テクノロジーズ社の研究者たちの調査によると、バイアグラを飲んでも勃起を達成できなかった多数の患者が、「PT-141」では成功したことが判明したという。またこの薬はバイアグラと違って、視覚や触覚による刺激の有無にかかわらず効果を発揮するため、患者が目標達成の不安を克服するためにも役立ったようだと報告している。
「PT-141」は経口薬ではなく鼻内噴霧薬だということなど、いろいろな面でバイアグラとは違っている。「PT-141」は、米食品医薬品局(FDA)の承認に必要な、臨床試験の第1段階をすでに通過した。研究者たちによる調査で、陰茎への血液流入による勃起の維持という、男性患者の最終的な目標達成をこの薬が助けることが判明している。「リジスキャン」という機器を使って計測したところ、勃起は最大で3時間持続したという。
「PT-141」は、鼻の中にスプレーするのが最も効果的だとわかったため鼻内噴霧薬になっている。心臓疾患があって硝酸塩系の化合物(ニトログリセリンなど、いわゆるニトロ系の薬)を服用している人にも安全だという。この点はバイアグラと異なる大きな特徴だ。バイアグラではニトロ系の薬と併用した場合、極端な低血圧になって生命に関わることがある。また、シアリスとレビトラもバイアグラと同じ仕組みで効果を発揮するため、ニトロ系の薬との併用には危険がともなうと研究者たちは述べている。
また、バイアグラ、シアリス、レビトラはすべて基本的に同じ仕組みで、『PDE5』という勃起を抑える方向に働く物質をブロックすることによって効果を発揮する。治療薬はこの抑制物質をブロックし、性的興奮を誘う視覚的な刺激を受けたり、性交相手に触れたりしたとき、勃起を可能にする。「PT-141」は、これとは異なる生理学的効果を持っている。PDE5をブロックする代わりに、「PT-141」は勃起につながる一連の出来事を引き起こす。「PT-141」が神経を刺激すると、陰茎に血液を送り込んで膨張させる働きを持つ分子が放出される。この神経は、自然な性的興奮によって活性化する神経と同じだ。
現在、性機能障害の治療法を研究している研究者の中には、女性を対象とした製品に活路を見出そうとしている人たちもいる。女性向けの治療薬は市場にあまり登場してきていない。女性の性的興奮の度合いを測定するのは男性より難しいことが一因だと研究者たちは述べている。男性の性的興奮は勃起によって明確に示される。女性の場合、性的興奮には膣の血流の増加だけでなく、分泌液の増加と、性交への欲求の高まりも関係してくる。「PT-141」のような薬が、膣周辺への血流を増加させる可能性はありそうだが、このような治療法が女性の性的な満足度を高めるとは限らない。パラティン・テクノロジーズ社は今年、女性を対象にして「PT-141」の試験を行なうという。














