自慰(じい)は、性交ではなく、自分の手や器具などを用いて自分の性器を刺激し、性的満足感(オーガズム:orgasm)を得る行為である。一部の者が「自慰行為は無害」と声高に主張しているが、世界的に見て現在このようなことを言っているのは日本だけである。確かに欧米でも20世紀の中期に「自慰行為無害説」が広まったことはあったが、近年の先進的な研究から自慰行為の様々な有害性が明らかになり、欧米では自慰行為有害説はもはや常識となっている。
自慰は精神的健康に及ぼす影響
自慰行為はその行為に際し性的な想像を必要とする。自慰行為中毒者は頻繁に性的想像を行うため、妄想が高じ、結果精神障害を発症するに至る。自慰行為者は自慰行為を続ける一方、自身の自慰行為に対して嫌悪感を抱いており、そのような心の葛藤が精神の破綻を生じさせているのであろう。また、自慰行為者の妄想は現実離れした自分に都合のよい自己中心的なものであることが多く、そのような自己完結した思考が精神の破綻を加速させているという説もある。
自慰行為の影響はそれだけに留まらない。精神障害の末、暴力行為、強盗などの犯罪を犯す事例も多く見られるのだ。1992年に米ミズーリ州で発生した銃乱射事件で犯人は、当初麻薬中毒者と思われていたが事件後の検査で麻薬陽性反応は見られず、自慰行為中毒者であることがわかった。そもそも自慰行為中毒者は性的欲求をはじめとする欲望が強く、またその欲望を抑制することができないために自慰行為を繰り返えしており、金銭欲、自己顕示欲などが背景となる犯罪についても同様に欲望を抑えきれずに罪を犯すものと考えられる。
自慰は肉体的健康に及ぼす影響
まず、自慰行為はエネルギー消費が大きく、身体を極度に疲弊させる。これはひいては全身の急激な老化現象をひき起こすことがある。マウスに電気刺激を与え強制的に射精させた実験では、自慰マウスの集団はそうではない集団に比べ、約15%寿命が短いことがわかっている。
また、統計的なデータからは、自慰行為者には癌の発生率が高いことが明らかになっている。これは自慰行為による陰茎や膣への不自然かつ過度な摩擦が異常刺激となり、細胞の癌化を促しているものと考えられる。
自慰行為の生殖能力・生殖器に及ぼす影響
自慰行為は人体の健康に多大な悪影響を及ぼすことが分かっている、その中でも、特に重大な影響を与えるのが生殖能力に対してである。
(1)自慰行為は女性の生殖能力・生殖器に及ぼす影響
自慰行為は女性に外面的な影響としては、性器の着色と変形がある。
以前より広く知られていることだが、自慰行為の摩擦刺激は皮膚や粘膜組織を黒ずませる。特に大陰唇、小陰唇の濃色化が顕著である。組織が黒くなるのはメラニン色素の沈着のためであり、これは摩擦による単純な刺激のほか、自慰行為による性ホルモン分泌の活性化も影響している。
性器の濃色化の程度は、元々の体質によるところもあるが、概ね自慰行為の回数に比例している。つまり自慰行為の開始年齢が早いほど、自慰行為の頻度か高いほど、より濃い色となる。特にホルモンバランスが不安定な思春期に自慰行為を行なった場合、急速に性器が濃色化していくことが分かっている。
また、自慰行為で性器への摩擦を繰り返すことにより、性器、特に小陰唇が変形する。小陰唇の形が歪になると共に、小陰唇が伸張し、ついには大陰唇からはみ出すようになる。これは排尿に深刻な影響を与え、尿が斜めに放出され、飛沫が飛び散るといった不都合を生じる。
膣内への刺激を続けた場合、膣の緊張が低下し、いわゆる「緩い」と言われる状態となる。これは膣の緊張が高い状態で摩擦すると膣粘膜の損傷が大きいため、膣の緊張を低下させ摩擦を減少させようとする人体の防御反応であろう。また、陰核(クリトリス)への刺激を続けた場合、陰核が通常よりも巨大化する傾向がある。
(2)自慰行為は男性の生殖能力・生殖器に及ぼす影響
まず、自慰行為による過度の射精が無精子症に繋がる危険性について説明しよう。
精子は生殖細胞から分化して生産されており、生殖細胞が有限である限り、生涯での精子生産数は自ずから決まってくる。これは自慰行為による射精回数が直接精子消費量に結びつくことを意味するのではない。射精頻度が増加すると射精1回あたりの精子数が減少する。すると人体は一定以上の精子数を確保するため、精子の生産速度を高める。その結果生殖細胞の消耗が速くなってしまうのである。精子の生産速度増大のメカニズムは分かっていないが、自慰行為により性ホルモンの分泌が活性化されることが一因と考えられている。
次に、自慰行為がインポテンツ、早漏の原因となることを指摘しておく。
前項で述べたとおり自慰行為は強い妄想を伴うが、慢性的な妄想は性的刺激に対する感受性を異常化させることがある。つまり性的刺激に対する感受性が鈍化してしまい、性交時に勃起しないインポテンツ症を発症するのである。
一方それとは全く逆に、早漏の症状を示すこともある。これは日常的に妄想しているため、わずかな性的刺激だけで妄想が増幅し、過度に性的興奮が高まることが原因と言われている。また、自慰行為で繰り返される「摩擦刺激すなわち射精」というサイクルが、一種の条件反射となっているという説もある。











