日本性機能学会によるインポテンツの定義は「性交時に有効な勃起が得られないために、満足な性交ができない状態と定義し、性交のチャンスの75%以上で性交が行なえない状態」となっています。インポテンツは性機能障害のひとつであり、性欲の減退や射精障害などはインポテンツに含まれません。
インポテンツという言葉はドイツ語で、直訳すると「性的不能」という意味です。人として本来備わっている能力が失われていることを意味し、こうした悩みをもつ患者さんへの思いやりに欠ける言葉だということで、最近ではインポテンツ(Erectile ysfunction=勃起障害)という言葉に統一しようとする傾向にあります。 現在、世界の先進国でインポテンツに悩んでいる方は人口の1割いると報告されており、日本でも軽症を含めると900万人以上いるといわれています。
年齢を重ねるごとにインポテンツになる確率は高くなっていき、40〜50代の日本人男性の、実に5割以上がEDの悩みを抱えているといわれています。加齢(老化)は、EDの危険因子のひとつになりますが、加齢=インポテンツということではありません。EDは大きく機能性ED、器質性ED、混合性ED、その他に分けられます。
■インポテンツの原因と治療
機能性EDには、うつ病などの精神病によるものと心因性によるものがあります。心因性EDの原因は精神的なストレスで、急激なストレスのため交感神経が緊張し血管が収縮、また、海綿体平滑筋の緊張の増強により、海綿体への血液の流入が遮断されるために起こると考えられます。
器質性EDは陰茎の支配神経、血管、組織などの障害や内分泌機能障害により充分な勃起が得られない場合です。混合型は糖尿病や高血圧、腎不全、泌尿器疾患などの疾患により、神経や血管、ホルモンが正常に機能せずに起こるものです。その他、一部の降圧薬やうつ病治療薬などの副作用としてインポテンツを引き起こす場合もあります。
インポテンツは加齢とともに増える傾向にありますが、これは加齢とともに心疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症などの基礎疾患が増えることや、これらの基礎疾患を治療するにあたって服用される降圧薬、抗うつ薬、血糖降下剤などの薬剤の使用も原因となりえます。
特に、糖尿病ではEDを合併する率が高く、30%から60%となっています。糖尿病の合併症に神経が障害されるものがありますが、陰茎に神経障害がおこるとインポテンツとなります。また、糖尿病では陰茎動脈の閉鎖が見られ、血管障害による陰茎の血流も低下も原因と考えられます。
骨盤外傷、骨盤神経叢に影響を及ぼす手術(前立腺摘出手術等)も中枢神経と陰茎の神経のつながりに影響するためEDを引き起こします。その他の要因としては、喫煙、過剰なアルコール摂取も陰茎の血管に影響を及ぼし、十分な血液が流入しないためEDの原因となります。
内分泌系障害として男性ホルモンの低下があげられますが、血中の総テストステロンの量は、60歳から徐々に低下していきますが、遊離テストステロンにおいては、20歳代をピークに徐々に減っていき、30歳から40歳、60歳から70歳で、ガクンと低下します。このテストステロンの低下に伴いインポテンツが増加しています。また、男性ホルモンは、ストレスや敗北感にともない分泌が衰えることもります。
また、ビタミンE、亜鉛は生殖機能に重要な役割があり、不足するとインポテンツなどの性機能障害が起こるともいわれています。
治療法は機能性インポテンツはカウンセリングなどの心理療法、器質性EDは手術などの外科的治療が必要になる場合が多くあります。インポテンツの治療薬にはホルモン系(強精剤)勃起薬系(勃起剤、バイアグラなど)、漢方系(強壮剤)があり、ホルモン系、勃起薬系は即効性がある反面、使用には注意が必要です。
漢方系は直接性機能に働きかけるというよりも、内臓全般の働きを活発にする事により体全体を壮健にしその結果として精力を高めるものです。即効性がないかわりに比較的安心して使用出来ます。
漢方系の強壮剤の代表的な原料は、動物性では、「鹿茸(ろくじょう、シカの角)」「牛黄(ごおう、牛の胆嚢またはその付近に 生じた結石)」 「麝香(ジャコウネコの分泌物)」「海狗腎(オットセイやアザラシ の生殖器である陰茎、睾丸および輸精管)」、「海馬(かいま、タツノオトシゴを乾燥させたもの)」など、植物生薬としては、「人参 (ウコギ科オタネニンジンを蒸して乾燥させたもの)」、「大蒜(ニンニク)」「黄精(ユリ科ナルコユリの根茎)」「淫羊カク(イカリソウ )」があります。














