米国のフィットネス愛好者の間では、エクササイズ中の女性の体の一部が本人の意識と関係なく反応してしまう現象が最近、ちょっとした話題になっている。ある種の運動をしている最中に、突如として快感が訪れる。絶頂感やオーガズムと言ってもよいほど、高い快感を覚えることが多い。
特に、同時に複数の筋肉と複数の関節を動かす“コア・エクササイズ”と呼ばれるタイプの運動(ピラティスなどで行われるエクササイズ)の最中に、このような“オーガズム”が生じることが多いことから、“コアガズム(coregasm)”という新語が登場したほどである。そして“コアガズム”を初体験した女性は、やがてそれを再現させるコツをつかみ、運動中に気持ち良くなるのがクセになったりするらしい。
具体的には、両足を閉じて行う各種腹筋運動の最中に“コアガズム”が生じることが多い。たとえば、両手でバーなどにぶら下がって両足を頭の方に持ってくる“ハンギング・レッグ・レイズ”、台に肘をかけて膝を引き上げる“ニーアップ”、床の上で行う足上げ腹筋などの最中に突如として快感の波が訪れるのだという。
MensHealth誌のオンライン版には、以下のような赤裸々な体験談が紹介されている。匿名女性―「床の上に横たわって、いつも小さなタオルか枕を腰の下に敷いて、足上げ腹筋をしてるのだけど、上げた足を床すれすれまで下げてきたときに、最高の“コアガズム”を味わうことができますね」匿名女性1―「1セット15回の腹筋運動をしているとき、3セット目に回数を20回まで増やすと、オーガズムがやって来ます。でも、誰にも気づかれてません。本当です」
匿名女性―「ジムの腹筋台に足をかけて腹筋していたときのことでした。突如として、電撃的な感覚の波に襲われたんです。びっくりして動きを止めました。顔から血の気が引きました。でも、すぐに可笑しくなって大笑い。周りの人全員にじろじろ見られてしまいましたわ」
オクラホマ州在住のカーリーさんという女性は、ジムでハンギング・レッグ・レイズ(バーにぶら下がって行う腹筋運動)をたったの5回繰り返すだけで、オーガズムに達し始める。「(“コアガズム”という現象が存在することを知って)自分ひとりだけじゃなかったと思うと安心しました」と話す。
カーリーさんが最初に“コアガズム”に達したのは、懸垂運動で上がりきった位置に止まったまま、足を上げて腹筋を鍛えるトレーニングをしていたときのこと。これは“実戦”にも使えそうだと思い、パートナーとの営みの最中に同じような姿勢を取ってみた。「でも、快感の波が強まった程度でしたね」と彼女は言う。
まだ男性を知らなかったときに“コアガズム”に達したことを明かしている匿名女性もいる。彼女は、腹筋台を傾斜させて腹筋をしているとき、強い感覚に襲われ、思わず途中でやめてしまったことがある。
「おかしな話ですよ。そのとき、私はまだバージンでした。だから、その感覚がいったい何を意味しているのかさえ理解できなかったんです」ある女性トレーナーは、こう証言している。「私の場合、ハンギング・レッグ・レイズかニーアップをするだけで、女の子なら誰もが夢見るような最高の“コアガズム”に確実に達することができます。骨盤底筋が活動し、足の上下運動による摩擦を伴って快感が生じるのではないかと思います。「でも、“コアガズム”が起きる理由をあまり追求しようとは思いません。気持ち良ければ、それでいいと思います」
さて、この“コアガズム”という現象、科学的にはどのように説明できるのだろうか? MensHealthオンライン版の記事には、専門家たちのコメントも掲載されている。セックスセラピストであり、“The Anatomy of Pleasure”(悦楽の解剖学)という著書があるビクトリア・ズドロック博士のコメント:「多くの女性は、脚の筋肉が緊張して初めてオーガズムに至ることができます。エクササイズ中には、女性の下肢の筋肉が緊張します。しかも、オーガズムに達するために必要なエンドルフィンとドーパミンが運動により分泌されます。こうして(敏感になった)陰核が刺激に反応しているのではないかと思われます」
同じくセックスセラピストであり、フィットネスにも詳しいジョア・デビッドソン博士のコメント:「骨盤筋が既に相当鍛えられている女性でないと、“コアガズム”は起こりにくいはずです。強い骨盤筋を持つ女性が体幹部のインナーマッスルや大腿四頭筋と太腿の内側に負荷がかかるエクササイズをした場合、骨盤筋も自動的に緊張することになります。「骨盤筋が十分な強度まで緊張すると、ミニ・オーガズムというべき現象が起きるのです。骨盤筋が鍛えられているほど、その感覚が強くなり、猛烈なオーガズムに至ることもあるわけです」
日本にも、フィットネスにいそしんでいる女性は大勢いる。米国で起きていることが日本で起きていないとしたら不思議である。むしろ、米国では割とオープンに報告されているのに対し、日本では恥ずかしがって誰にも言わない女性が多いだけかもしれない。(この記事を書いている時点で“コアガズム”をググってもヒットはゼロである)。
ともあれ、いまのところ“コアガズム”は女性にしか起きない現象とされている。女性の場合は、“コアガズム”に達しても、本人が絶叫したり白目を剥いたりしない限り、別段問題はない。だが、もし男性にも“コアガズム”が起きるのだとしたら、大変なことになりそうだ。単に後始末が大変なだけではない。格闘技などで相手と組み合っているときに起きたら非常に具合が悪い。だいいち、女性の利用者もいるジムで起きようものなら、あらぬ誤解を持たれて人生が台無しになる可能性すらある。














